住まいの情報 |
便利な場所に安く住む方法 |
10年から20年程経過した小規模で古くなった事務所ビルが開いている。割合便利な場所にあり、住宅に改造しても活用できる。法律的な諸々の条件をクリアーすれば、さほど難しい話でもないし、冷え切った事務所ビル活用に新たな可能性が開かれることになる。 建物の償却も進んでいるので改造費を加えても安価な家賃設定が可能だし、事務所のまま空き家で置いていても将来的に事務所需要は向上することは考えられない。ましてや数年間も空き家で置くと金利だけでも大変なマイナスになる。それよりも住宅にと考えるのは当然であろう。 こうした住宅が若者の居住拠点として着目されると考えられる。空間がフリーだから家具などでの間取りの変更も自由で、ワンルーム的な住まい方も、キムタクと山口智子のロングバケーションでの住まいのように、パーテーションで区分した居住スタイルも具現化できる。
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新しい単身者の居住拠点誕生の期待 |
核家族化がさらに進んで核分裂を起こしている家族事情がある。離婚件数の増加、晩婚化、シングル化、婚外出産の増加など、一人二人世帯の増加が急速に進んでいる。だから人口は減少していても世帯数は増えている現象がいたるところで見られる。一人二人世帯の住まいは必ずしも郊外の一戸建てではなくてもいいし、職場にも程近くの生活に便利なところがいいと考えるのは普通。こんな事情が都心居住のムードを押し上げている。 若い世帯にとってはコンビニが近くにあれば、それで済む。土日は車でスーパーで買い入れ、日常は夜遅くまで開いているコンビニがあれば事足りる。だから生活拠点の条件は通勤とコンビニが目安になり、そのほかの公共施設は二の次である。 ところが、週休二日が定着し、週休三日も現れ始める昨今、休日の過ごし方が重要になってくる。四六時中、ワンルームの一室にもこもりきれないし、出かけるにもおっくうでという曖昧な時間の過ごし方に戸惑うことが多くなる。何となく過ごすことの出来る空間、いつも誰かに会える空間、気兼ね無く参加できるスペース、こんな曖昧な空間性能を持つ居住施設が増えてくると考えられる。 人間は集団で生きる動物であり、文明の発達により、より孤立化できる環境が整えば整う程、心理的空虚さは増してきて、何らかの拠り所を探ろうとする。それが、家庭であったり友人であったり、子どもであったりペットだったりするのだが、必ず心の平衡を保つための整理をする場を持つものである。こうした精神安定剤空間付きの住宅を期待したいし、創っていきたいと考えている。
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高齢者のお屋敷に下宿する方法 |
核分裂が進行すると、持ち家のお屋敷に高齢者のみが取り残されるケースが生まれる。こうしたお屋敷には余剰の部屋も多く、若い世帯に下宿をさせたり、簡易な宿として解放したりの方法が考えられる。戦後、戦争未亡人などが学生相手に賄い付きの下宿屋を始めて「下宿」の名を定着させたように、現代版「下宿」があってもいいのではないか。むろん中高年の下宿でもいいし、海外からの留学生でもいい。公的にバックアップすることが出来れば在宅の高齢者も安心だし、若者も便利で居住環境のいい住宅地で過ごすことが出来る。 東京都では平成8年度から、高齢者同士で既存住宅に同居することをイメージして、改造費補助を始めている。こうした事例をさらに展開すれば若い世代との同居への改造費支援も可能で、「幽霊屋敷とばあさん」の組み合わせからも解放されることになる。若者よ年寄りをいたわろう・・・。 【参考】 東京都のホームページ
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